血の出る一本栗  (大川地区)

栗の大木に伝わるお話

旧国道沿いの大川に、一本ぐりという大きな木があります。むかしからこのくりの木は、生命のある木だと言い伝えられてきたため、この木を切ると血がでるという話を誰もが信じて葉をむしる人すらいませんでした。そのうえ、箱館戦争の時、引き取り人のない死体をこの木のそばに埋めたため、血の出る話はますます広がりました。

ところが、明治の終わりころ、台風のために一本の枝が折れ てしまいました。しかし、ちっとも血がでないので、一人の若者がその枝を持ってきて焚いてしまいました。すると間もなく、若者は年若くして死んでしまったのです。人々はこれをくりの木のたたりだとむかしどおりに伝説を信じるようになり、今も大きな姿を見せているのです。

「ななえの歴史と伝説」より