ひっそりと咲く花   2008.4.4

ザゼンソウの群落

4月4日。ザゼンソウの群落の植生範囲を確認するため町内のとある場所まで足を運びました。ここは、昨年に植生地として確認していたのですが、うかつにも開花の最盛期を過ぎた頃だったので、どのくらいの広がりで分布しているかがわからず、今年あらためて調査したものでした。

方形画にめぐらされた水路のようなものが確認できることから、もともと水田だった場所と推測される。現在は、一帯がヨシ原になっている。先に確認した水路は、現在の側溝にみられるようなコンクリートで囲われるものではなく、素掘りに近いもので、このことが幸いしてか水が周囲に浸透し、適度な湿地を形成しているのだと考えられる。ザゼンソウは、この水路を中心に分布しており、想像以上に、広く植生していることが判った。この状況から考えると、この群落は水田が放置されてから徐々に分布域を広げ、現在に至っており、水路の造成方法やヨシ原が日光をさえぎる働きをするなど、いくつかの好条件が重なって残されたのだろう。

ザゼンソウばかりに目がいってしまい気づかなかったが、よく見ると、あたりに生育するヨシの株が地表から30㎝くらい高くなり、ぼこぼことかたまって育生する「谷地ぼうず」と呼ばれる湿地特有の地形になっていました。これらは、冬の地面凍結によって自然に盛り上がり、あたたかくなると雪解け水などによって削られ、長い年月かけて坊主頭のように丸く整えられる現象です。

ザゼンソウの群落といい、谷地ぼうずといい・・・よく見ると身近な自然も知らないことだらけだなと思う一日でした。

<花の情報>

和名:ザゼンソウ(座禅草)
学名:Symplocarpus renifolius
英名:Eastern Skunk Cabbage
科属:サトイモ科ザゼンソウ属
花言葉:「ひっそりと待つ」「沈黙の愛」

北海道から本州に分布。七飯町では4~5月ころが見ごろ。
赤紫色の部分を仏包苞と呼び、その中にある黄色いつぶつぶのようなものが、それぞれ花になる。
達磨大使が座禅を組む姿に似ていることからこの名がついたといわれ、別名「だるま草」とも呼ばれる。