凛とした姿で・・・   2008.8.19

軍川稲荷神社の狛犬

町内の狛犬について、写真記録や寸法・製作年代だけでもおさえておこうと始めた狛犬調査だったが、まだ報告していない狛犬たちを紹介しなくてはと思い続け、半年が過ぎようとしている。というわけで、今回は個人的に町内で一番カッコいいと思っている軍川稲荷神社の狛犬を記憶をたよりに紹介したい。
 調査したのは、昨年の8月19日。静かな場所にポツンと建てられている軍川稲荷神社は、大沼地区でも歴史の古い神社である。ここに安置されている狛犬はややスマートでありながら、漲る力強さを感じるものだった。阿形は左前足で毬をおさえ、吽形は藤城稲荷神社と同じように、右前足を子供の背中にのせ守っている姿をしている。そして、子供も親同様に力強い目をしている。

 時期的な作風なのかわからないが、まるで、これから獲物を狩るライオンのように勇ましく、犬というより獅子に近いイメージである。尻尾の毛並みやアゴ髭も力強く彫られ、凛とした風貌に彩りを添えているようにも思える。「なんかシブイよなぁ・・・。」同行者にそうつぶやき、淡々と計測を終えてその場を後にする・・・。
 後に気付いたのだが、この狛犬たちの建立年月日は昭和19年8月19日・・・。
偶然にも、調査した日の64年前の同じ日に建てられたものだった。奇妙な縁を感じた一日だった。








<狛犬の情報>

製作年代:昭和19年(1944年)8月19日
大きさ:65×36×92cm
軍川稲荷神社の略史:安政元年(1854年)に林八郎兵衛が住民に図って京都市伏見神社
より勧請し、明治9年軍川村社に列せられたというが、起原が慶応3年11月という説もある。