○七飯町まちづくり基本条例
平成19年10月1日
条例第28号
目次
前文
第1章 総則(第1条~第4条)
第2章 情報の共有(第5条~第9条)
第3章 参加と協働(第10条~第14条)
第4章 町民参加の制度保障(第15条・第16条)
第5章 コミュニティ(第17条~第19条)
第6章 議会(第20条~第22条)
第7章 町政運営(第23条~第29条)
第8章 安心して暮らせるまちづくり(第30条・第31条)
第9章 やさしさと思いやりのあるまちづくり(第32条・第33条)
第10章 環境と共生する活力のあるまちづくり(第34条・第35条)
第11章 連携及び交流(第36条~第38条)
第12章 条例の位置づけ等(第39条~第41条)
附則
私たちのまち七飯町は、温暖な気候、豊かな水と緑に恵まれ、日本における洋式農法を基盤とした近代農業の発祥の歴史を持つ町です。また、七飯町は、秀峰駒ケ岳と大沼国定公園を擁する自然豊かな町でもあります。
1880年(明治13年)に七飯外5ヶ村戸長役場が開庁し、七飯町の礎が築かれてから今日に至るまで、先人の英知と努力によって農業を基幹産業として発展を遂げ、歴史や文化を育んできました。
私たちは、町民憲章の精神にのっとり、これまで先人たちが築いた歴史や文化を次世代に引継ぎ、美しい自然を守り育て、誰もが安心して暮らせるまちづくりを進める責任があります。
そのためには、私たち一人ひとりが町政に関心を持ち、自らの意思によってまちづくりに参加する、あるいは、自らがまちづくりの担い手となって活動する自主・自律のまちづくりを進めなければなりません。
私たちは、このような認識のもと、未来をつくる子どもたちの健やかな成長を願い、だれもが安心して暮らせる、住みやすい、住んでみたい七飯町の実現をめざし、この条例を制定します。
第1章 総則
(目的)
第1条 この条例は、七飯町のまちづくりの目標及びまちづくりの基本原則を明らかにするとともに、まちづくりに関する町民の権利と責務並びに議会及び執行機関の役割と責務などを定めることにより、町民主体によるまちづくりを推進し、自治の実現を図ることを目的とします。
(用語の意味)
第2条 この条例で使われている用語の意味は、次のとおりとします。
(1) 町民 町内に居住する人、町内で働く人、町内で学ぶ人、町内で事業を営む人及び町内で活動を行う団体をいいます。
(2) 子どもたち 年齢満20歳未満の町民をいいます。
(3) 町 議会及び執行機関(町長、教育委員会、監査委員、選挙管理委員会、農業委員会及び固定資産評価審査委員会)を含めた地方公共団体をいいます。
(4) まちづくり 心豊かに、かつ、快適に暮らせる生活環境及び安心して暮らせる地域社会を創るために行う公共的な活動をいいます。
(5) 参画 町民がまちづくりに主体的に参加し、行動することをいいます。
(6) 協働 町民、町が、それぞれ自らの果たすべき役割及び責務を自覚して、自主性を相互に尊重しながら、協力し合い、又は補完し合うことをいいます。
(7) コミュニティ 自主性と自己責任のもとに町民で構成される地域社会の多様な集団及び組織をいいます。
(まちづくりの目標)
第3条 町民憲章を受けて、次のとおりまちづくりの目標を定めます。
(1) 自然を大切にし、美しい町をつくります。
(2) 力いっぱい働き、豊かな町をつくります。
(3) すすんで学び、文化の高い町をつくります。
(4) 互いに助け合い、あたたかい心の通う町をつくります。
(5) 未来をつくる子どもたちが、健やかに育つ町をつくります。
(まちづくりの基本原則)
第4条 町民と町は、次の基本原則によりまちづくりを進めます。
(1) 町民は、まちづくりに関する情報を共有する権利があります。
(2) 町民は、まちづくりに参画する権利があります。
(3) まちづくりは、情報公開と町民参加により策定された計画に基づくものとします。
(4) まちづくりは、まず町民自らが行い、さらに地域や町が補完して行います。
(5) まちづくりは、町民や町など各主体が協働して行います。
(6) まちづくりの実施後は、その結果について評価を行います。
第2章 情報の共有
(情報共有の原則)
第5条 町民と町は、まちづくりの目標を実現するために必要な情報を共有します。
(説明責任)
第6条 町は、まちづくりに関する施策の企画立案、実施及び評価それぞれの過程において、その経過、内容、効果及び手続を町民に明らかにし、わかりやすく説明します。
(情報提供)
第7条 町は、町民との情報共有を推進するため、町民に対し、町政に関する情報を適切に提供します。
(情報公開)
第8条 町は、まちづくりに関する情報を原則として公開します。
2 前項に規定する情報の公開に関し必要な事項は、別に条例で定めます。
(個人情報の保護)
第9条 町は、その保有する個人情報を厳正かつ適正に取り扱い、個人の権利や利益が損なわれることがないようにします。
2 前項に規定する個人情報の保護に関し必要な事項は、別に条例で定めます。
第3章 参加と協働
(町民の権利と責務)
第10条 町民は、一人ひとりの自主性により、お互いに平等な立場で、まちづくりに参加する権利があります。
2 町民は、お互いに多様な価値観を認め合い、自らの発言と行動に責任を持ち、多様な主体のまちづくり活動を尊重し、認め合いながらまちづくりに取り組むよう努めます。
3 町民は、まちづくりの活動への参加、不参加を理由として差別的な扱いを受けません。
(子どもたちのまちづくりに参加する権利)
第11条 町民と町は、子どもたちがその年齢にふさわしいまちづくりに参加する権利を保障します。
(男女共同参画の原則)
第12条 まちづくりは、男女の平等を基本とし、共同で参画することを原則とします。
(住民投票)
第13条 町長は、まちづくりに関する重要な課題について、直接、町民の意思を確認するため、住民投票を実施することができます。
2 前項の住民投票の実施に関し必要な事項は、それぞれの事案に応じ、別に条例で定めます。
3 町民及び町長と町議会は、住民投票の結果を尊重します。
(協働の原則)
第14条 町民と町は、お互いの役割と責任のもとに、良きパートナーとして連携してまちづくりに取り組みます。
第4章 町民参加の制度保障
(計画策定における町民参加の原則)
第15条 町は、町民参加のもと、まちづくりの基本構想及びこれを具体化するための計画(以下「総合計画」といいます。)を策定します。
2 町は、総合計画について、行政評価に基づいた進行管理に努め、町民参加のもと、柔軟に見直しを行います。
3 総合計画の策定に関し必要な事項は、別に条例で定めます。
(意見提出制度の保障)
第16条 町は、総合計画をはじめとする基本的な政策等の策定に関しては、その手続きを公表し、町民から意見を求めます。
2 町は、政策等を決定しようとするときは、あらかじめ政策等を公表し、町民から意見を求めます。
第5章 コミュニティ
(コミュニティの役割)
第17条 コミュニティは、地域社会の担い手として主体的にまちづくりに参加するよう努めます。
(コミュニティ活動への参加)
第18条 町民は、町内会やボランティア団体などのまちづくりに取り組むコミュニティ活動に積極的に参加します。
(コミュニティ活動への支援)
第19条 町は、まちづくりに参加するコミュニティの自主的活動を積極的に支援します。
第6章 議会
(議会の役割と責務)
第20条 議会は、地方自治の本旨に基づき、町の最高意思決定機関として、町の重要な政策を決定します。
2 議会は、常に民意の把握に努め、町民の意思を反映したまちづくりのためにその権限を有します。
3 議会は、町が公正で民主的かつ法令に準拠した効率的な町政運営を行っているかを常に監視し、それを町民に明らかにします。
4 議会は、議会活動に関する情報を町民と共有し、開かれた議会運営に努めるとともに、審議の過程や結果をわかりやすく町民に説明します。
(議員の責務)
第21条 議会議員は、町民の信託に応え、この条例の理念を実現するために、公正かつ誠実に議会活動を遂行します。
2 議会議員は、議会がその機能を十分に発揮できるよう町政に関する調査研究に努めます。
(政策会議の設置)
第22条 議会は、本会議のほかにまちづくりに関する政策を議論するため政策会議を設置することができます。
2 前項の会議は、議長がこれを招集し、議事運営にあたります。
第7章 町政運営
(町長の責務)
第23条 町長は、町の代表者として、町民の信託に応え、公正かつ誠実に町政を運営します。
2 町長は、町政運営に関する中・長期及び毎年度の方針について明確な意思を表明し、その方針に基づく政策の目標値、達成時期及び財政的裏づけを明確に町民に示すよう努めます。
(職員の責務)
第24条 町職員は、町民全体のために働く者として、この条例を遵守し、公正かつ誠実に職務の遂行に努めます。
2 町職員は、職務の遂行に必要な知識の取得及び技能等の向上に努めます。
(健全な財政運営の確保)
第25条 町は、町の財政状況を総合的かつ的確に分析し、総合計画に基づいた中・長期の財政計画を定め、財源を効率的かつ効果的に活用することにより、最小の経費で最大の効果をあげるよう努めます。
2 町は、町民にわかりやすく財政状況を説明するため、地方自治法(昭和22年法律第67号)及び別に条例で定めるところにより財政状況を公表するとともに、貸借対照表(バランスシート)、行政コスト計算書その他の財務に関する資料を作成し、公表します。
(会議公開の原則)
第26条 町は、審議会等の付属機関及びこれに類するものの会議は、原則公開とします。ただし、その会議の内容が許可・認可等の審査、行政不服審査、紛争処理、試験に関する事務等に係るものであって、会議を公開することが適当でないと認められるときは、非公開とすることができます。
(委員の公募)
第27条 町は、審議会等の付属機関及びこれに類するものの委員を選任する場合は、その全部又は一部を公募により選任するよう努めます。
(行政評価)
第28条 町は、政策、施策及び事務事業の成果、達成度等を明らかにするため、行政評価を実施し、その結果をわかりやすく町民に公表するとともに、施策及び事務事業に適切に反映するよう努めます。
(意見、要望等の対応)
第29条 町は、町民からの町政運営に関する意見、要望等が寄せられた場合には、施策に反映させるよう努めます。
2 町は、町政運営に関する苦情に対し、誠意を持って対応します。
第8章 安心して暮らせるまちづくり
(安心のまちづくり)
第30条 町は、町民が安心して暮らせるまちづくりのために、防犯組織や町民と連携し、防犯活動の推進に積極的に取り組みます。
2 町民は、相互に協力し安心して暮らせるまちづくり活動を推進するよう努めます。
(災害等に強いまちづくり)
第31条 町は、災害等に際して町民の身体、生命及び財産の保全に努めるとともに、町民、事業者及び関係機関との協力、連携並びに相互支援による危機管理体制を確立します。
2 町民は、自ら災害等に備え、緊急時には地域で相互に助け合います。
第9章 やさしさと思いやりのあるまちづくり
(子どもたちにやさしいまちづくり)
第32条 町は、安心して出産や子育てができる環境整備を行い、すべての子どもたちが良い環境のもとで、健やかに成長できるよう必要な施策を講じます。
2 町民は、地域で一体となり、未来をつくる子どもたちを育てます。
(高齢者や障害者の暮らしやすいまちづくり)
第33条 町は、高齢者や障害者が生きがいを持ち、安心して暮らせる地域づくりのための必要な施策を講じます。
2 町民は、地域福祉を支え、高齢者や障害者が安心して暮らせるよう支援します。
第10章 環境と共生する活力のあるまちづくり
(自然環境と共生するまちづくり)
第34条 町は、大切な自然環境を未来に向かって保全し、次の世代に引き継ぐために、町民、事業者並びに関係機関と協働して必要な施策を講じます。
2 町民は、日常生活や社会活動などで自然環境に配慮した暮らしを心がけます。
(活力のあるまちづくり)
第35条 町は、地域経済の活性化を図り、町民生活の安定化に資するため農林水産業、商業、鉱工業及び観光産業の振興に必要な施策を講じます。
2 町民は、地域経済の活性化のため事業者及び関係団体と連携し、地域産業の基盤づくりに努めます。
第11章 連携及び交流
(近隣市町との連携)
第36条 町は、広域的取り組みを必要とする施策については、近隣の市町との情報の共有を一層高め、相互理解のもと、広域連合や一部事務組合を活用し、効率的な町政運営に努めます。
(国、北海道との連携)
第37条 町は、国、北海道と対等・協力の関係のもとで連携を深め、広域連携等の制度を積極的に活用します。
(国内・国際交流)
第38条 町は、広く人材を育成し、地域の活性化を図るため、国内の他の市町村との自治体間交流や国際交流を推進します。
第12章 条例の位置づけ等
2 町は、この条例の理念にのっとり、町政運営を行うとともに、施策の実現に向けたまちづくりに関する制度の整備に努め、条例及び規則等の体系化を図ります。
(委任)
第41条 この条例の施行に関し必要な事項は、別に定めます。
附則
この条例は、平成19年10月1日から施行します。