○七飯町部分林条例
昭和25年3月30日
公布
第1条 本条例に於て部分林と称するは、町有地を希望者に貸付し造林をなさしめ其の収益を分収するをいう。
第2条 部分林として貸付すべき面積は個人又は団体を対象として其の能力に応じて2年以内に植栽し得る面積を以て町長これを定む。但しこれにより難いときは適宜之を定むることを得
第3条 本条例により貸付したる土地は貸付料を徴収せず、貸付期間中に於ける公課は町の負担とする。
第4条 部分林の施業に要する費用及び保護は総て造林者の負担とす。
第5条 本条例により土地の貸付を受けんとするものは、町長に願い出て許可を受けるものとし、団体にて願い出る場合は団体全員連署で代表者を定め願出るものとす。
3 事の異例に属する場合は町議会の議を経て之を定む。
第6条 部分林の分収歩合は土地の状況により3公7民、乃至2公8民の範囲内に於て契約の際之を定む。
第7条 分収の方法は次の各号の内につき造林者の択ぶところによる。
(1) 材積を調査し立木の儘にて分配すること。
(2) 競争入札法により全林木を売却し其の代金を分配すること。但し入札は造林者を立会せしめ町役場に於て行うものとす。
第8条 公益上必要な場合又は本町に於て森林保存の必要を認むるときは前条によらず、町議会の議決を経、相当の価格を以て造林者の分収すべき樹木の全部若しくは幾部を買上ぐること。此の場合に於て造林者は、これを拒むことを得ず。
第9条 部分林として貸付すべき土地の使用期間は50年以内を以て之を定む。
2 使用期間満了後なお継続の必要を認むる場合に限り、造林者の願出により最初契約の条件を以て更に相当の期間を延長することを得
3 使用期間中でも伐採することが有利であると認むるときは、相互協議の上、伐採分収することを得
4 伐採分収完了した時は、使用期間に残余あるも契約は満了したものとす。
5 契約期間満了又は伐採分収完了したるときは、町長に届出て跡地の検査を受け土地を返還するものとす。
第10条 造林者土地貸付の許可を得たときは直ちに境界を正し、その四隅並びに要所に次の標木を建設すべし。
第11条 植栽は下記各号により契約を以て之を定む。
(1) 契約の日より満1年以内に全面積の植付を完了すること。
(2) 契約の日より満2年以内に全面積の植付を完了すること。
(3) 契約の日より満3年以内に全面積の植付を完了すること。
(4) 上記に拠り難いときは適宜の期間を定め契約することを得
第12条 植栽すべき樹種は土地に応じ、最も適合せる樹種を選び契約を以てこれを定める。
第13条 造林地は植栽以前に条刈、全刈又は焼払いを行い完全なる地拵をなすものとす。
2 貸付地内の四囲には防火線を設置するものとす。但し防火線の設置に当りては四囲の状況、地勢、風向等を考慮して種類幅員及び設置の要否につき町長の承認を得ること。
3 防火線は毎年1回必ず手入を行い可燃物質を線外に排除するものとす。
第14条 樹苗の植栽に当つては地勢及び樹種に応じて列間並びに苗間を正しく1町歩当り3,000本植を原則とする。
2 植栽後5ケ年間は毎年夏季に於て下刈を行うこと。但し苗木の成育状況に応じて期間を伸縮することを得
3 下刈終了後は随時蔓切、除伐を行い植栽木の成育に支障のないようすること。
4 植栽後枯損を生じたるときは、植栽の翌年度に於て必ず補植を行うこと。
第15条 次の場合に於ては町長に届出でるものとす。
(1) 地拵をなさんとするとき。
(2) 植付及び補植をなさんとするとき。
(3) 下刈、蔓切、除伐、防火線の手入を行わんとするとき。
(4) 山野火に罹り又は延焼の虞あるとき。
(5) 風雪、水害又は鳥獣害を蒙りたるとき。
(6) 誤盗伐を発見したるとき。
第16条 前条第4号の事故で費用を支出するときは、造林者の故意又は重過失による場合を除き分収歩合により各々その費用を負担するものとす。
第17条 樹木成育し除伐又は間伐の必要を生じたときは、町長に申告し検査を受けるものとす。
2 検査を経て伐採した除伐木、其の他下草、菌茸類及び植栽後自然に発生した樹木を手入れのため伐採したるものは造林者に付与する。
第18条 植栽の成績が良好で他の模範と認めるときは、町長は、町議会の議決によつて奨励金を交付することができる。
第19条 第7条第1号により材積を以て分収するときは、造林者は、町長の指定した期間内にその分収樹木を搬出しなければならない。但し止むを得ない事由ありと認むる場合に限り1ケ年以内搬出延期を許可することを得
第20条 造林者搬出期間内に分収樹木の搬出を終らないときは、その未搬出の物件は権利を抛棄したるものとみなし、町に於て之を取得す。
第21条 天災その他避けることのできない事変により、造林の目的を失し、契約の存続不可能となつた場合に於ては、現存の樹木は分収歩合により之を分収する。
2 已むを得ない事由により造林者契約の解除を願出で許可したとき亦同じ。
第22条 造林者は町長の許可を受けなければ、その分収権を譲渡又は担保に提供することはできない。相続又は改名したときは町長に届出でるものとす。
第23条 造林者次の各号に該当するときは、契約を取消すことあるべし、此の場合に於ては既植の樹木に対し分収権を失うものとす。但し造林者の責に帰することのできない事由あるときは此の限りでない。
(1) 植栽を終りたる後5ケ年を経過するも造林の見込のないとき
(2) 本条例又は契約事項に違背したとき。
(3) 造林者その部分林に関し罪を犯したとき。
(4) 部分林を他の目的に使用したるとき又は之を他人に転貸若しくは使用せしめたとき。
団体に於て第2乃至第4号に違背したる者あるときは団体全員連帯でその責を負うものとす。
第24条 本条例に基く処分により造林者に於て損害を蒙ることあるも、町は賠償の責に任ぜず。
附則
1 本条例は、発布の日から施行する。
2 従前から設定された部分林は、本条例によつて設定されたものとみなす。
3 部分林規則は、これを廃止する。